わが夢は星の彼方餓GAROU狼→小説





今日もフリーマンとジェニーはハインライン宮殿の上空を飛び交っていた。
しかし、今日は何かが違った。
害虫駆除のおじさんがいつもと違うのだ。


説明しよう。
ある日の事、グラント様は目の下にくまを作りながらいつも通り朝帰りだった。
「害虫駆除が厳しくて…」
とかいうのは本当の事だろうか?
そして、分裂の皆様は、オリジナルに向かってこういった。
「そんな簡単そうな事に何故、そんなにてこずっているのか?」
と。
聞いた瞬間、グラントは目を光らせ、肩で小刻みに揺れた。
「いいだろう…わかった…貴様らにもこの辛さを教えてやろう…」
そうして、命令が下された。
返答の有無は答えられず、全員強制行動。
さっきの一言に、皆は後悔した。


そんな訳でトップバッターは眼鏡をつけた金髪のおじさんだ。
「おじさん言うな。まだ二十代だ」
つっこみありがとう。しかし、友人いわく、25過ぎたらおじさんだそうだ。
「そいつ、連れて来い。全国の25以上の独身男性諸君に謝ってもらおう…」
はいはい。話が進まないから。
で、あんた、両手に持っているそれはなんだい?
「内緒だ。直に判る…」
言って、スィンクは眼鏡を妖しく光らせた。
まあ、頑張ってください。

フリーマンは空を仰いでいた。
うっとりしながらいつもの天辺に立っている。
と、足元に違和感を感じた。
少し体制を立て直そうとして、事態に気が付いた。
「…ゴキブリホイホイ!?」
そう!足元にはゴキブリホイホイが敷き詰められ、フリーマンは不覚にも、それに足を突っ込んでいた。
「く…とれん…!!」
じたばたじたばたじたばたじたばた。
ああっと!!なんて恐ろしいんだ!!!ゴキブリホイホイ!!
アレの中にゴキブリが溜まっているかと思うと…。
「パパー!!!捕まっているーーー!!!」
「あら!フリーマン!無様ね!!(爆笑)」
ミヤギとジェニーがフリーマンに気付く。
「ママ!パパを助けなくちゃ!!」
「え?!あ、そうね!ミヤギがそういうんだったら行くわよん!!」
ひゅーひゅーっといって、二人で飛び始めた。
「かかったな!!!」
スィンクさんがそう叫ぶと、両手に持っていたモノを投げつけた。
バッッ!!
「!?こ、これは!!!」
ゴム製、地引網だ(爆)!!!
「品種改良に先駆けて、俺が独自で開発を施した特許出願中のアイテムだ!」
どこに出すんだ。特許。
それはそうと、ぞの地引網はフリーマンとミヤギ&ジェニーの前にたちはばかる!!
「え〜い!!やっふう〜!」
ばしっと叩くが、丈夫で全然びくともしない。
「よ〜し!パパの技!!シャア!!」
ざしゅっとやるが、手だし、ゴムなので切れない。
「えーい!!シュワルツフレイム!!」
ボバーーー!!
「ゴムの焼けた匂いがーーー!!臭いーーーーーーー!!!!」
ミヤギは後悔した。
「どうだ!!これで手も足も出ない!!ハーッハッハッハッハッハ!!」
スィンクさん、勝ち誇り。
しかし、ミヤギはママと顔を合わせてにやりと笑った。
「ところがどっこい、切っちゃえば問題ないんだよな」
「なんだと!!!」
「見よ!!ママに買って貰ったミヤギ、三種の神器!七種の神宝!!」
ミヤギは「良い子のお遊戯セット」を取り出し、中からはさみを取り出した。
「…な、なにいいいいぃぃぃぃ!?」
「えい☆ちょっきん★」
ざっくりと切れた。
よほど完璧に研がれていたんだろう。
後から聞いた話によると、研いだのはフリーマンでしかも素手でといたらしい。
次々とゴムをじょきじょきときって行く。
「・・・・・・・・・・・・・・(声にならない)」
そんなこんなできちんと元にあったところにはさみを直し、ミヤギは無事、パパの元へとたどり着いた。
「パパー!大丈夫?よいっしょっと!」
ゴキブリホイホイから救出。
「ありがとう…ミヤギ…さすが俺の子だ…」
フリーマンパパになでなでされて、ミヤギは上機嫌だ。
「さすがミヤギちゃん。おりこうさんねv」
ジェニーママにもぎゅうっとされて、ミヤギは嬉しそうだ。
「さ〜て★そろそろ寝ましょうか?ママと寝ようねvvv」
「何を言う…ミヤギは俺と寝るんだ…」
二人の間に見えない火が走った。
ばっとミヤギに振り返る。
「ミヤギちゃ〜んvvv」
「俺と、こいつと、どっちと寝るんだ?」
私、私、私、俺、俺、俺、と、視線が来る。
「う〜ん…」
ミヤギはいつか前、こんな事態があった気がする…と、思い立ち、そして思い出した。
頑張って考えて、二人が喧嘩しない方法を取った。
「ミヤギ、三人で川の字になって寝たい〜★」
二人の手を取って、にっこりと笑った。
か、可愛い…!!!
ぐらりと二人は揺れて、ミヤギの笑顔を見やった。
「じゃあ、三人で寝ましょうか?」
「そうだな…」
「わ〜いvvvパパもママも大好きvvv」
三人は仲良く並んで歩き始めた。

そして、朝。
「…………スィンク?」
ブラッドは、屋根の上で三角座りをしているスィンクを見つけた。
「な〜にやってんだ?あんた…」
屋根の上に上ってスィンクの肩を叩き、ブラッドは硬直した。
「…だから、あそこで……そうしたら……」
ブツブツと目の下にくまを作って計算をしている。
「いや、だから、あそこで…そうだ…ならこうしたら……いや、待てよ…・………」
よっぽど自信があったんだろう。
揺すっても気が付かない。
「………………………」
ブラッドは、だから秀才系のおじんは嫌なんだ…。と、心の中で呟いた。

スィンクVSパパママお米ファミリー
スィンクの精神的打撃&完全な惨敗により
現在の結果、0:1…。



また、新しい夜。
今度はレイトの順番だった。
「…………………………」
眠たくて仕方ない。
こんなところで何かするよりも可愛い可愛いフォールを横において居眠りしている方がよっぽど良い。
「………………………………」
フォール…可愛いよな…。やっぱ男よか女の方が断然可愛いだろう…。
オリジナル(Aカラー)も周りの奴等も変だ。まったく。
とかぼーっと考えていると、いつも通り、奴等がやってきた。
「……………………………………」
はあ〜…だっるぅ〜…(ジェニー調)
別になぎ倒してもどうせ明日にはまた顔を出すんだ。
そうしたらこんな事、意味なんかないじゃないか。
骨折り損のくたびれもうけ。というではないか。
「…………帰ろう」
帰って寝る。オレは寝てる方が闘ったり仕事するより好きなんだ。
そしてフォールと良い事でもしよう。
………………………にやり。
眠たいと悲鳴を上げる体をゆらゆら揺らしながら、レイトは自室へと帰った。

レイトさん、こう見えても実は結構えげつない人なのかしら。
きっとそうなんだろう。グラが嫌がるはずだ(爆)。
そしてフォールちゃんと甘い甘い以下略。

レイトVSパパママ’s
レイトの試合放棄にてパパママ’s不戦勝。
よって、現在0:2…。



そして、また新しい夜。
フリーマンはいつもの所に登ろうとした。
が、いつものところに立とうとした時、立てなかった。
何故ならそこには先手必勝!と言わんばかりに何故かジャージ姿のメリッシュがすでに立っていた。
おまけにさらに何故か剣道の竹刀まで持っている。
「…お前、何をやっている…」
フリーマンが聞くと、メリッシュはニッコリ笑って深々と頭を下げた。
「義父さん!こんばんわ!いやあ!今日も良い月ですね!!」
迷惑なほど大きな声でにこにこと手を握ってくる。
…変な奴だ。
フリーマンは率直にそう考えた。
「ココで何をしている…」
「はい!ミヤギと星について語り合いたいと思いまして、ココにくれば会えるだろうと思いましたので待機させてもらってます!迷惑かけて申し訳ありません!!あ、そうそう、かねてからあまり良く御互いの事をあまり理解していませんよね、色々とお話させてください!あ、これお土産のひよこ饅頭です!おいしいんですよ!お茶もちゃんと用意させてもらっています!!ささ、どうぞ!!」
マシンガンのように一方的に喋り続け、座布団とちゃぶ台と番茶とひよこ饅頭を並べて危なっかしいところで二人は窮屈そうに座った。
「いやあ!こうしていると夜風が涼しくていいですね!星もキレイだし月もキレイだし!!」
「…………貴様、うるさい…」
「ええ!!うるさいですか?!俺はこれが普通のつもり何ですか!!」
さらに声のトーンを上げた。
五月蝿くて五月蝿くて仕方ない。
「…静かに喋れ、それから、何でジャージで竹刀なんだ?」
えっと!ミヤギが「お前はこういう恰好が似合うだろう?」って言ってくれたんです!いやあ!そんなに似合っていますか?!お恥ずかしい!!ミヤギも珍しくにこにことして、どうしたんだ。と思ったらこれをくれまして!良い子です、あの子は!義父さんの子育ての賜物ですね!!」
「………………」
だんだん、声のトーンが高くなってきている。
フリーマン、途中から耳が痛くて何を言っていたか聞き取れなかった。
っつ〜か、ミヤギはきっとメリッシュに冗談と侮辱を含めてそれを渡したんだろうが、当の本人気に入ってるし。
まだ、何か喋っているが、もう何がなんだかわからない。
彼のマシンガントークは、明け方まで続いた。

メリッシュVSフリーマン
メリッシュの圧勝。
現在、1:2…。


そっから、また新しい夜。
グラは、主から渡された虫取り網を担いで胡座をかいて待っていた。
虫取り網を無造作に手に取り眺める。
「こんなんでとれるかっちゅ〜の…」
はあ…と、溜め息を吐いてひょっと捨てた。
ばさ!
「いや〜ん★何かに引っかかっちゃった〜!!!」
ジェニーの声だ!!
見ると、網が頭からすっぽりと被さっていて、必死に暴れている。
「…………………ばかばっかりだ」
言って、下に降りる。
ジェニーに掛かっている網を取ってやる。
そして直で目に飛び込んできたはふくよかな胸!
さっと手を取って見つめる。
「お嬢さん。こんな罠に掛かるなんて危なっかしいな…俺と、どこかに遊びにでも行かないか?」
直でナンパ。下心丸見えだ。おっさん。
「え〜☆でも〜息子が…」
「良いじゃねえかv子育てなんか忘れて、俺といい事でもしようぜ」
無造作にジェニーの体に下心丸出して手を掛けようとした時。
何かが飛んできた。
すっかあああああああああああん!!!
「いってえええ!!!」
頭に刺さっている。
何だ?と、抜いてみると、クレパスだった。
しかも赤。
「うっわー!俺のキレイな銀髪がーーー!!!」
嘘をつけ。もう風呂何日入ってないんだ?お前。
「ナレーション、馬鹿な事をいうな。俺はいつでも清潔だ(怒)」
「あ、グラじゃん。どうしたの?俺に合いに来てくれた?」
笑ってつつつ…と寄って来て、背筋に指を這われた。
「ぎゃあ!気持悪い!!一応ノーマルの話なんだからそういうのは止めろ!!!」
バン!と、突き飛ばして逃げろと、言わんばかりにダッシュで去った。
「あ〜んvグラ〜vvvっと、ママー。大丈夫ーーー?」
「ん〜大丈夫よvありがとうvミヤギちゃんvvv」
ママにぎゅうっとだっこされる。
そのママのふくよかな胸に埋もれて幸せそうな顔をしているミヤギに対して、グラはすっげえ羨ましそうな顔をした。


グラVSミヤギ
グラの精神的ダメージにより、ミヤギ圧勝。
現在、1:3…。



「なんだ。役に立っているのはメリッシュだけか」
報告を受けて、グラントははあっと息を吐いた。
「どうだ。あいつらの恐ろしさ、とくと思い知ったか?」
「「「はい」」」
メリッシュ以外は声を揃えて頷いた。
「え〜?いいじゃないですか?義父さん、いい人ですよ〜vvv」
そう思っているのはお前の勘違いしている頭の中だけだ。
誰もがそう思った。
「と、まあ、苦労しているわけだ。判ったか?そんな訳で、これからも交代制でいくから覚悟しろ」
びしっと指を指してグラントの鶴の一声。
ギャーギャーと文句を垂れる中、レイトが眠たそうに手を上げた。
「はい、レイト。なんだ?」
「いっくら蹴散らしても戻ってくるんだったら、初めから放置しておいた方が楽じゃないですか?構うから帰ってくるんですよ。いっそ、ほったらかしにしておきませんか?」
「「「「…………………………………」」」」
それもそうだと、グラントの皆さんは思った。
いらない義務感で頑張っていたので思い当たらなかった辺り、かなり焦っていたんだろう。
「…それもそうだな。そうしようか…」
あっさりと、害虫駆除し隊は、解散した。
皆は、レイトに感謝の好意を寄せずに入られなかっただろう。



そして、今日も飽きる事無くパパママお米は空を飛び交うのでありました。


                                                END



言い訳
はい。なんか、よくわかんねえや。
あやとこんなカンジなのを初め喋っていて…みたいな。うん。
楽しいよ。とっても。
以上。
                                   00/05/22 (月)  Yusaku U.