わが夢は星の彼方餓GAROU狼→小説




『Free Stage −NIGHTMARE−』



……カワイタ……
……ココロモ、カラダモ。……

でも動くことが面倒だから。
今自分が生きているのが実感できないから。
こうやってうずくまっている。

…デモ、モウスグダ…
…モウスグ、アクムガヤッテクル…

「おい、そこの君」

自分に声がかけられている。
それは判った。
しかし、『言葉』に聞こえない。
意味を成さない人の声。

「生きてるのか、おい」

……ウルサイ・ダマレ……

ほんの少しだけ、目を開ける。

「大丈夫か?」

…ポリス?…

興味がわいた。
まだこんな所まで来る物好きがいたか。
前に来た奴等も、この手で…。
顔を上げ、声の主を見上げる。
とたんにその黒人警官の表情が変わる。

「お前…ひょっとして…」

警官が後ずさりする。
彼の声が『言葉』に聞こえるようになった。

「このスラムに来た警官を片っ端から殺しているっていう…」

……アア、ソウダ。……
…オマエモナカマノトコロヘイクカ?……

「フリーマンか?!」

名前。
自分の名前。

「クククククク…」

含み笑いは、肯定を意味する。
両手をだらりと垂らし、立ち上がる。

「やっぱりか!同僚の仇、討たせてもらうぞ!!」

警官が銃をかまえた。
そんなことで臆すと思うか?
心地よい緊張感が周りの空間を満たす。

「この悪夢へ…ようこそ…」

悪夢の始まり。
そう、この瞬間。
この瞬間が、この世で最も素晴らしいトキ。

「覚悟しろ、フリーマン!!」

警官の右手の人差し指が動く…その刹那。
生死を分ける一瞬。
不敵な笑みを浮かべ、手を振りかざした。

「…召されろ」

首筋から血を流し、動かない警官。
腕から血が流れているが、死とは程遠い自分。
それが結果だ。

ミネラルウォーターのボトル。
警官が持っていたものだ。
一気に飲み干す。
空のボトルを無造作に投げ捨てる。

もうここに用は無い。
立ち去ることにした。

一度だけ、振り返る。
警官の骸。
これが敗者。
勝ったのは…生きるのは、自分。

「極上の死に感謝しろ…」

……カワキハ、イヤサレタ……              END


補足@気付いてたかもしれませんが、警官の方はマーキーの父親です。
   こんな人なのかなぁ…?(自信無し)
   A外国って水買って飲まないとダメだって聞いたから…
   だからミネラルウォーター。ちなみにまだ開けてなかったらしい。
   (…間接キスじゃなくてよかった。)
かなり言い訳
   今ムック貸しちゃってるんで、セリフは資料無し。記憶だけが頼り。
   なので!間違ってたらごめんなさーい!


あやの一言。
素晴らしい小説有り難うございました。
さすがは、私の同志!!授業中まで同じ事を考えているとは・・・・