わが夢は星の彼方餓GAROU狼→小説




俺は狂っている?
俺は狂っているのか・・・・

いつの頃からだったか、俺にとってこれが普通になっていた。
いつの頃からだったか、全く覚えていない。

今日も悲鳴を上げて、一人の男の命は奪われる。
断末魔の叫び声は耳障りだ。もっと安らかに逝けないのか・・・・。
何だ・・・・?
拾い上げてみる。
薬・・・?
何の薬かはすぐに分かった。いわいる麻薬、自分の知る限りでは今スラムに出回っている物の中で最も強力な・・副作用の強い物だ。その副作用はほとんどの人間を死に至らしめる。と聞いた事がある。
それを思い出し、少し興味が涌いた。
俺は・・・・どうだろう・・・・。
試してみたくなった。
男が持っていた薬を一掴み取ると、ためらいもなく飲み込んだ。

だるい。
なかなか現れなかった薬の効き目に、興ざめていた頃。
頭痛がして急に気分が悪くなって来た。
「・・ウ・・・・」
気持ちが悪い。
おぼつかない足取りで大通りまで歩いた。
頭痛は更に増し、頭を叩き割られる様な痛みに見舞われる。
少しでもそれを紛らわそうと・・運悪く通りかかった人間を片っ端から斬り殺して行く。(哀れな)
それでも収まらない。
再びふらふらと裏路地へ入っていく。
「アア・・・」
耐えきれなくなり、地面にうずくまると、血を吐きそうな勢いで激しく咽せ返った。
焦点が定まらなくなる。
「グワァァァァ・・・・」
錯乱し、斬撃を自らの身体に放つ。
脳が麻痺して何も考えられなくなる。
辺りがぼう・・っと霧状に霞んで見えた。
汗が流れ落ち、地面が塗れる。
寒くも無いのに身体が震えた。
何だ・・・・これは・・幻覚?
「・・・!」
何が見えたのかは、分からない。
懐かしく・・悲しく・・として、恐ろしいモノ。
赤い髪を振り乱し、瞳を見開く。
それは、あざ笑う様にゆっくり近づいて来た。
低い嘲笑がフリーマンの耳に響いた。
「ヤメロォォォ・・!!」
頭を掻きむしり、力任せに何度も壁に叩き付ける。
だらだらと血液が流れ、赤い髪を更に赤く染めて行く。
両腕で自らの身体を強く・・引き裂けんばかりに強く抱きしめ、苦しそうに喘いだ。
「う・・・・」
荒々しく息を吐き出し、奥歯を食いしばる。
襲い来る激痛と死の・・・
「ククククク・・・・」
突然不気味に笑い出す。
死の・・・・生と死の狭間・・・。
自分が望む、最上の瞬間。
「クックックッ・・・」
半狂乱に笑い続ける。
まさに生きるか死ぬかの・・その状況を、心の底から楽しんでいた。
「・・ガハ・ッ」
吐血して、口元から血を滴らせながら・・・・なおも笑いは止まらない。
狂っている。
俺は狂っているのか・・・?

結局一睡も出来ずに、再び夜が訪れる。
身体の痛みは大分引いた。
まだ、頭がふらふらする。
自分の周りには、飛び散った血痕が生々しく残っている。
身体も傷だらけ。
薄く笑って髪を掻き上げる。
それが、月の光に異様に生えた。

俺は・・狂っている・・?


Aya 00.5.8



あとがき
確認せんでも狂ってます。はい。
そんな貴方を私は好きよ〜(こっちも狂ってます)