わが夢は星の彼方餓GAROU狼→小説



a.m.10:00
「カイン様」
庭で花に水をやりながら小鳥たちと戯れていた主を見つけ、声をかける。
カインは一瞬止まってから、
「何だ、ミヤギ?」
あえて、ミヤギの背後に何か、手ぇ広げて揺れてる影と、ちょろちょろと動きまわっている影が見えたことは無視した。
「今夜、一緒に星を見に行きましょう。」
「何!?」
カインの表情がぱっと明るくなる。
「さては、お前もマニアだな!!」
「はい!!」
がっしりと手を組み合わせて意気投合する。

p.m.7:00
「製図板〜方位磁石〜♪」
「毛布に某雑誌〜♪」
二人がわきゃわきゃと準備をしている。
「カイン、懐中電灯持ってきたぞ。」
仮面男、もといグラントが懐中電灯を二つ持って入ってきた。
「ああ、ありがと。」
「グラント様、その懐中電灯に赤のセロファン貼っといて。」
二人ともこちらを見向きもせずに作業を続ける。
「ああ・・」
何で、そんなことするんだ?と聞くと、
「「何を言う!懐中電灯に赤セロファンは天体観察の常識だ!!」」
とハモリで怒られた。
後でこっそりジェニー(たまたま通りかかった)に聞いた所、夜空の暗さに目が慣れている所に、懐中電灯の光は眩しすぎて目が眩むので、赤セロファンを貼ると丁度良いんだと言われた。お前もマニアか・・ジェニー・・?

p.m.10:00
カイン’sは何時間経っても飽きる事無く星を眺めている。
グラントは思った。
何が、そんなに面白いのか・・・・。
「あ、流れ星!!ラッキー!!」
突然カインが叫んだ。
「特別な流れ星が流れたとき、消えるまでに3回願い事を言うと叶うんだよね。」
「特別な・・って、普通の流れ星とどう違うんだ、ミヤギ?」
「えー・・カイン様知らないの?あのね、何か人の形に見えて、やたらとキラキラ光ってて、よーく耳を澄ますとひゅーひゅーって聞こえてくる流れ星の事だよ。」
ミヤギは得意満面。
グラントの仮面が心なしかずり落ちた。
「ミヤギ・・・それを誰に聞いた?」
「パパですが・・・?」
「・・そうか・・」
ぽんと肩をたたいてそれだけ言った。

あれから二時間。
二人は未だに星を眺めている。
グラントは思った。
いい加減、飽きてきた・・・・。
だが、二人に飽きる様子は全く無い。
ふう・・・・とため息を吐き、グラントは思った。
帰りたい・・・・。
更にグラントは思った。
これ以上ここに居ると、何か出そうな気がする・・・・。(予感的中まであと三秒)
三秒後、カインが悲鳴を上げた。
あわててそちらを見ると、ざわざわと風に揺れている木の上に何かが立っていた。
もちろん、後ろにもう一つ何かが飛び回っているのは言うまでも無いだろう。
グラントは思った。
・・・・来てしまったか・・・・。
「パパ〜」
ミヤギが嬉しそうに駆け寄り、木を昇り始めたが、途中で落ちた。
その瞬間、木の上の影がビクッと反応し、慌てて降りてきた。飛び回ってたのも降りてきた。
しばらくその様子を観察していたグラントは思った。
帰りたい・・・・。
ふとカインを見ると、パパとママに囲まれて嬉しそうなミヤギをじー・・・っと見詰めている。
グラントはカインの肩をたたいて言った。
「お前には私が居るだろう?」
「うん。」
カインは嬉しそうに笑った。

更に一時間。
二人は相変わらず空を見上げている。
として、パパとママも、木の上でうっとり・・&空を飛び回っている(疲れないのだろうか)
グラントは思った。
もう・・・勝手にしてくれ・・・・。


グラントが無事に宮殿に帰り着いたのは、朝日が出てきて星が見えなくなってからだった。

Aya 00.5.3



あとがき
ミヤギメイン・・のつもりだったのに、仮面男の方が目立ってる・・・・。
フリーマン、結局パパとしか出てこなかった・・いいけどね別に。