わが夢は星の彼方→伽耶の目指せ天下一!!→いつもキミのそばにいる
『いつもキミのそばにいる』 …あれから幾つの季節が過ぎ、流れたのだろう。 初めて出会ったあの日。 ただのガキと思っていたら、 「お父さんを…お父さんを、いじめるなーーー!!」 いきなり飛び出し、あのラディッツに致命傷を負わせた。 自分達が手も足も出せなかった相手にあんな子供が。 悟空に倒された時よりもショックを受けた。 しかし、目指していた奴が居なくなり目標を無くしてしまった自分の中には、まだ『何か』がくすぶっていた。 それが何なのか分からないまま、一年後にやってくるサイヤ人対策として悟空の息子である悟飯をあの世にいる奴の代わりに育て上げることにした。 『…立派な魔族としてな』 いつからだろう。 それを忘れて、ただ純粋に悟飯との一年に満たない月日を大事にしようと思い始めたのは… 自分でも分からない間に情が移ってしまったからか 自分の死期が近づいているのを知らず知らずの内に感じていたからだろうか 『魔族』としてではなく『個人』として初めて接してくれたからだろうか… それが分かったのはあの時。 サイヤ人の攻撃から悟飯をかばったあの瞬間。 自分でも何故あんな行動を起こしたのか…。 理解するには… まだ未熟だった 心が 魔族からヒトへと移り変わるには… 二人で過ごした一年余りの月日は …短すぎた 「…ピッコロ、さん?ピッコロさん、ピッコロさんしっかりして!ピッコロさん!!」 …自分の為に泣いてくれる人がいる。 裏切り 妬み 憎しみ 嫉み 負の感情しか知らなかった自分に 喜び 思いやり 心配 分かち合い 新しい感情を教えてくれた悟飯。 そんな優しいお前を闘いに巻き込んでしまった。 俺に出来る唯一の罪滅ぼしだったのかもしれない。 それからの悟飯は頑張った。 好きでもない闘いに自ら赴き、助け、助け合いながら成長していった。 『お父さんを殺した。僕がお父さんを殺してしまった!!』 傷ついた心を隠し笑顔を絶やさない反面、誰にも見られないよう注意しながら いつも… いつも泣いていた。 七年以上が経ち、悟空が帰ってきた。 一番喜び、安心したのは…… 間違いなく悟飯だろう。 悟天という弟に 『お父さん』 が居るという普通の生活を戻してやれた。 母親に 『本当の家族』 を返してやれた。 クリリン達には 『大切な親友』 が帰ってきたのだ。 そして、これからは自分の気持ちをありのままにぶつけられる相手が居るのだから… いつの間にか、悟飯もどんどん闘いから離れ、今では夢であった学者というものにもなった。 家庭を持ち、平和の中で幸せに暮らしている。 昔のように遊びに来ることはほとんど無くなってしまったが、 それでも下界を見渡せる自分の能力を使って見守っていてくれているのが分かるから… と伝えに着てくれた時は、心から喜びを感じることが出来た。 あの日から。 悟飯と初めて会ったあの日から… 自分の心が悟飯と同じように成長していたのが分かった。 くすぶっていた『何か』 それはきっと 中途半端から抜け出したい 魔族として生きるか? 魔族でありながも自分を受け入れてくれる奴らと共に生きるか? その答えを知らない内に誰かに求めていたからだろう。 最近そう思えていた。 しかし… 自分を変えたのは悟飯。 そして周りにいた戦友達。 これだけ分かれば 後は… どうでもいい… これからも今までのように 下界を見渡し 人々の幸せを 悟飯達の幸せを 静かに祈ろう… 天界にはデンデとポポ。 下界には悟飯達。 これまでに出会った人達がいる。 自分はもう一人ではない。 だから… お別れだ、悟飯… ドラゴンボールは危険なもの。 封印するより… 消滅させてしまった方が良い。 ……悟飯 強くなったな… ……さらばだ…… ※あとがき GTを見た人ならば、最後の大事な一言が抜けているのに気づいたはず… GTを『ただ』見てただけ… って人でもピッコロさんファンがいるならば、このラストシーンは覚えているでしょう! 泣いたでしょう!! 『感動』の一言ですよ(T_T) ピッコロさんは天国に行ったにも関わらず、悪い奴らを懲らしめるためにわざわざ天国で暴れて地獄に行っちゃうけど… そこが真面目なピッコロさんの良いところ♪ …昔よりももっと素敵になったピッコロさん。 一時期嫌いな時があったのも確か。 だけど、それは表面ばかりを見ていただけで… 内面を少しも見ようとしなかったうちの人の見る目の無さから生まれてきた感情。 だから… せめてもの贖罪として、この作品を仕上げました。 今の柔らかい見方、考え方が出来るのは きっと… 今まで出会ってきた人達との触れ合い。 別れ。 色んな事が交差して… 積み重なって… 時に苦しみ 時に迷い 時に躓き けれど 手を 手を差し伸べてくれた人達がつねに居てくれたから。 皆様。 ありがとう。 これからも よろしくv ( ^_^)/ |